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旅客機のパイロットは、航空機を安全に運航し、乗客を目的地まで届ける専門職です。業務に就くには「定期運送用操縦士」の資格を取得し、航空会社での厳格な訓練を修了する必要があります。
仕事の内容は操縦だけにとどまらず、出発前の気象や機体の確認、飛行計画の作成、航空管制官との英語による交信、さらには緊急時の対応など多岐にわたります。
そのため、高い判断力と語学力が求められます。航空大学校や航空会社の自社養成制度、自衛隊からの転身など複数の道があり、高収入が期待できる一方で、勤務は不規則になりやすいのが特徴です。
この記事では、将来、旅客機のパイロットを目指す人のために、旅客機のパイロットになるために必要な学歴、年齢、資格、平均年収、旅客機のパイロットになるためのステップについて徹底解説いたします!!
パイロットになるために必要な学歴は?
パイロットになるために必要な学歴を、以下に説明いたします。
法律上、パイロットになるために必要な学歴の定めはありません。
ただし、実務上は「高校卒業以上」が事実上の条件となるケースがほとんどです。
主なルート別の学歴要件
パイロットになるための主な学歴要件を以下に説明します。
●航空会社の自社養成パイロット
・学歴:高校卒業以上
・文系・理系は不問
・大学卒を歓迎・有利とする会社が多い
・入社後に操縦訓練を受ける方式
●航空大学校(国の養成機関)
・学歴:高校卒業以上
・年齢・身体条件・学力試験あり
・卒業後に航空会社へ就職
●自社養成以外(民間訓練校→就職)
・学歴:高校卒業以上
・自費で訓練(高額)
・就職難易度は高め
●自衛隊(操縦士)→民間転身
・学歴:高校卒業以上
・自衛官として操縦経験を積む
・民間航空会社へ転職するケース
パイロットの年齢制限は?何歳から何歳までなれる?
パイロットの年齢制限について解説いたします。
パイロットの年齢制限(目安)
パイロット(旅客機操縦士)の年齢制限は、目指すルートや立場によって異なります。
●航空会社の自社養成パイロット
・応募年齢:20代前半~後半(30歳前後まで)
・理由:長期訓練(数年)と定年(多くは65歳)までの勤務年数を考慮するため
※会社ごとに異なり、30歳未満・28歳以下などの条件を設ける場合もあります。
●航空大学校ルート
・入学時年齢:23歳未満(年度により若干の変更あり)
・特徴:国家養成機関のため年齢条件は比較的厳しめ
●自社養成以外(操縦経験者・事業用操縦士)
・上限なし(事実上)
・民間で資格取得 → 経験を積んで航空会社へ応募する場合、
・30代・40代で採用されるケースもあります
※重要なのは「年齢」より飛行時間・技能・英語力・健康状態
●定年・乗務可能年齢
・定期運送用操縦士の上限:
・65歳未満(国際基準)
※60歳以上は副操縦士限定などの制限がかかる場合あり
●健康面の制限(重要)
・航空身体検査(第1種)に合格することが必須
・視力・心臓・聴力などが厳格にチェックされます
→ 年齢よりも健康状態が最大の関門です
パイロットになるための必要資格は?
パイロットになるための必要資格について解説いたします。
日本でパイロット(旅客機操縦士)になるために必要な資格は、段階的に取得していきます。ここでは航空会社で旅客機を操縦することを前提に解説します。
パイロットになるための必須資格を以下に説明sします。
① 定期運送用操縦士(ATPL)
・最終的に必須となる国家資格です
・旅客機の機長として乗務するための資格
・多くの場合、航空会社入社後に取得します
② 事業用操縦士(CPL)
・航空会社に入社するために必要
・報酬を得て飛行できる資格
・副操縦士として旅客機に乗務可能
③ 自家用操縦士(PPL)
・パイロット資格の最初のステップ
・単独飛行・基本操縦を行うための資格
・航空大学校・民間養成では必ず取得します
④ 計器飛行証明(IR)
・雲の中や悪天候でも飛行できる資格
・旅客機運航では必須
・目視に頼らず計器のみで操縦します
⑤ 多発限定(ME)
・エンジンが複数ある航空機を操縦する資格
・旅客機は基本的に多発機のため必須
⑥ 航空身体検査証明(第1種)
・最重要条件
・視力・聴力・心臓・精神状態などを厳格に検査
・これに合格しないと、どんな資格があっても操縦不可
その他に必要な能力・要件
●英語力
・国際線・国内線ともに必須
・ICAO英語能力証明(レベル4以上)が求められます
●飛行時間
・ATPL取得には
・総飛行時間1,500時間以上が必要
パイロットの平均年収は?
パイロットの平均年収について解説いたします。
航空会社のパイロットの平均年収
パイロットの平均年収は、およそ1,200万円〜1,800万円程度 です
・若手の副操縦士(First Officer):約1,000万円前後
・中堅〜ベテランの副操縦士:約1,200〜1,500万円
・機長(Captain)クラス:1,500〜1,800万円以上
この幅は、路線(国内線・国際線)、会社規模、飛行時間、役職(副操縦士 vs 機長)によって差があります。
パイロットの平均年収の傾向
・国際線パイロットは、国内線よりも手当が多い傾向があります。
・外資系航空会社は、ベース給に加えてインセンティブが付くこともあります(年収がさらに高めになるケース)。
・パイロットは専門性・責任が非常に高い職業であるため、他職種と比較しても高収入の部類です。
パイロットになるまでの一般的な流れ
| パイロットになるまでの一般的な流れ |
| ➊ 進路選択・基礎条件の確認 ❷ 学科試験・適性検査・英語力審査 ❸ 操縦訓練・資格取得 ❹ 航空身体検査(第一種)の合格 ❺ 航空会社への採用・機種別訓練 ❻ 副操縦士 → 機長へステップアップ |
➊ 進路選択・基礎条件の確認
まずは、パイロットを目指す進路を決めます。代表的なルートは以下の3つです。
・航空会社の自社養成パイロット
・航空大学校を経由するルート
・民間の操縦学校(自費)から航空会社に就職するルート
あわせて、視力・聴力・健康状態など、航空身体検査に合格できるかを確認します。
❷ 学科試験・適性検査・英語力審査
選考や入学時に、以下の試験が行われます。
・数学・物理などの基礎学力
・適性検査(判断力・空間認識力など)
・英語試験(特にリスニング・会話力)
航空会社採用の場合は、面接やグループ討論も実施されます。
❸ 操縦訓練・資格取得
訓練を受けながら、段階的に操縦士資格を取得します。
・自家用操縦士
・事業用操縦士
・定期運送用操縦士
あわせて、飛行時間を積み重ね、計器飛行や多人数運航の訓練も行います。
❹ 航空身体検査(第一種)の合格
旅客機パイロットとして働くためには、第一種航空身体検査に継続して合格する必要があります。
視力・心身の健康管理は、訓練中・就職後も非常に重要です。
❺ 航空会社への採用・機種別訓練
航空会社に採用されると、担当機種(例:ボーイング、エアバスなど)ごとの専門訓練を受けます。
シミュレーター訓練や実機訓練を経て、副操縦士として乗務を開始します。
❻ 副操縦士 → 機長へステップアップ
一定の飛行時間と経験を積むことで、
・副操縦士
・機長(キャプテン)
へと昇格していきます。
まとめ

旅客機のパイロットになるために必要な学歴、年齢、資格、平均年収、旅客機のパイロットになるためのステップについて解説いたしました。
まず大切なのは、早い段階で進路を明確にすることです。航空会社の自社養成、航空大学校、民間養成など、ルートによって年齢条件や費用、求められる準備が大きく異なります。自分の年齢や経済状況に合った道を選ぶことが、合格への近道になります。
次に重視すべきなのが、健康管理です。旅客機パイロットは第一種航空身体検査に継続して合格しなければならず、視力や聴力、心身の状態が重要視されます。日頃から生活習慣を整え、体調管理を意識することが欠かせません。
また、英語力の強化も必須です。航空管制官との交信は英語で行われ、国際線・国内線を問わず高いリスニング力と会話力が求められます。学生のうちから英語に慣れ、実践的な運用力を身につけておくことが重要です。
さらに、パイロットには冷静な判断力とチームワークが求められます。機内では機長と副操縦士、客室乗務員、整備士など多くの人と連携して安全運航を支えます。協調性や責任感、落ち着いて行動する力を日頃から意識して養いましょう。
最後に、パイロットへの道は長く厳しいものですが、継続する力が何より大切です。学科試験や訓練で壁にぶつかることもありますが、諦めずに努力を続ける姿勢が、最終的に夢の実現につながります。

