
写真はイメージです
令和4年の警察庁「運転免許統計」によると、1年間で運転免許の取り消し処分を受けた人は全国で32,980人に達しています。免許取消は、数ある行政処分の中でも非常に重いものとされています。
この記事では、免許の取り消し処分について、取り消しに至る条件や点数、処分までの流れ、さらに講習や再取得の手続きなどについて解説いたします。
免許取消とは?
交通事故や交通違反を繰り返して違反点数が加算されると、免許停止や免許取消といった行政処分の対象になります。
運転免許に関する行政処分は道路交通法に基づき都道府県公安委員会が実施しますが、その中でも免許取消は最も重い処分です。
免許取消になると運転免許の効力は失われ、車を運転することができなくなります。そのため、再び運転するためには、改めて免許を取得し直す必要があります。
免許取消になる主な理由
免許取消になる主な理由には、以下のようなものがあります。
違反点数の累積
過去3年間に蓄積された違反点数が15点以上に達した場合が対象となります(酒酔い運転や麻薬等運転などは、それだけで一回の違反点数が15点以上になります)。
特定違反
酒酔い運転、麻薬等運転、ひき逃げ、救護義務違反などを起こした場合、免許取消となります。
病気・障害
統合失調症やてんかん、重度の睡眠障害、失明など、運転に支障が生じると判断される場合には、免許が取り消されることがあります。
中毒
アルコール、覚せい剤、麻薬などの依存状態にあることが判明した場合は、免許が取り消される対象となります。
免許取消の手続きの流れ
免許取消の手続きの流れについて以下に説明いたします。
➊ 警察から通知書が届く
警察から以下のいずれかが届きます。
・行政処分出頭通知書
・意見の聴取通知書
通知書に記載された日時・場所に出頭します。
❷ 意見の聴取
処分前に公安委員会で意見を述べる機会(意見の聴取)があります(90日以上の停止・取り消しの場合)。意見の聴取では、以下の確認が行われます。
・違反内容の確認
・状況説明
・資料提出
・意見陳述
意見の聴取には、弁護士や補佐人の同行も可能です。
❸ 免許取消の決定
意見の聴取が終わると、都道府県公安委員会が最終的に行政処分の内容を決定します。
免許取消が決定された場合、その時点で運転免許の効力が失われ、車を運転することができなくなります。処分内容は書面で通知され、免許証の返納を求められます。また、処分の種類や内容に応じて1年~10年の欠格期間(一定期間免許を取得できない期間)が設けられます。
❹ 取消処分者講習
欠格期間が終了した後に免許を再取得する場合、本免許試験の前に「取消処分者講習」を受講する必要があります。
●取消処分者講習の概要
・講習日数:2日間(約13時間)
・講習料金:33,800円
・必要書類:写真、取消通知書、住民票
・講習内容: 運転適性検査、指導、運転実技
・有効期限:取消処分者講習終了証明書は1年間有効で、1年以内に免許再取得の試験に合格する必要があります。
※取消処分者講習終了証明書は、運転免許を取得する際に必要となりますので大切に保管してください。
❺ 免許の再取得
取消処分者講習受講後、運転免許の再取得が行えます。
運転免許を再取得する方法は以下の2つの方法があります。
➊ 運転免許試験場で一発試験を受ける
❷ 指定の自動車教習所に通う
まとめ

免許の取り消し処分について、取り消しに至る条件や点数、処分までの流れ、さらに講習や再取得の手続きなどについて解説いたしました。
行政処分の中でも最も重いとされる免許取消について、その仕組みをご理解いただけたでしょうか。
違反点数の累積によって取り消しになる場合もあれば、一度の重大違反で免許が無効となるケースもあります。さらに、特定の病気や障害が運転に支障をきたすと判断された場合にも、免許取消の対象となります。
免許が取り消された後に再び取得するには、取消処分者講習の受講や再試験が必要です。免許取消に至らないよう、日頃から安全運転を心がけて下さい。


