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「会社を辞めたい」と感じる理由は人によってさまざまです。単なる職場への不満にとどまらず、自分の可能性を広げたいという思いからだったり、将来への不安が大きくなって決断を考える方も少なくありません。
この記事では、会社を辞めたい7つの理由と、対処方法、会社を辞めた方がよい場合、会社を辞めない方がよい場合について徹底解説いたします。
会社を辞めたい7つの理由とは?
会社を辞めたいと感じる方の理由にはさまざまありますが、その中でも特に多く挙げられるのが次の7つです。
| 会社を辞めたい7つの理由 |
| ・職場での人間関係に疲れ、限界を感じている。
・給与が低く、このままでは将来が不安になる。 ・長時間労働が続き、心身ともに消耗している状況だから。 ・担当している業務が自分に合わず、ストレスになっている。 ・努力しても正当な評価が得られず、成果が報われないと感じる。 ・会社の社風や価値観に違和感があり、馴染めない。 ・今後の展望が見えず、キャリア形成に不安を抱えている。 |
ここからは、会社を辞めたいと感じる方によく見られる理由と、その背景にある本当の気持ちについて詳しく解説していきます。
職場での人間関係に疲れ、限界を感じている
職場の人間関係は、仕事への満足度を大きく左右する重要な要素です。上司からの過剰なプレッシャーや、社内での派閥による衝突など、「働きづらさ」を感じている方は少なくありません。
こうした人間関係によるストレスは、「自分が否定されている気がする」「安心して働ける環境を求めている」といった自己肯定感にも深く影響します。
特に、スキルや成果が重視されがちなエンジニアなどのIT系職種では、人間関係が原因で力を発揮できない状況は大きな負担となり、さらにはキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性もあるのです。
給与が低く、このままでは将来が不安になる
給与は、自分の働きに対するもっとも分かりやすい評価であり、生活の基盤を支える重要な要素です。
収入が低いままだと、「この先、結婚や子育て、老後の設計ができない」といった将来への不安が大きくなりがちです。また、「努力やスキルが正当に認められていないのでは」と感じ、承認欲求が満たされないケースも少なくありません。
さらに、同業他社や同世代との収入差を目の当たりにすると、そのギャップがモチベーションを大きく損なう原因にもなります。
長時間労働が続き、心身ともに消耗している状況だから
慢性的な長時間労働や休日出勤が続くと、心身ともに大きな負担がかかります。最初は使命感や責任感で頑張れても、徐々に思考力や集中力が低下し、「自分は何のために働いているのか」と迷い始める方も多いものです。
このような疲労状態が長期化すると、燃え尽き症候群やメンタル不調を招くリスクが一気に高まります。
健康を犠牲にしてまで続ける価値があるのかを考え直すきっかけにもなり、結果として退職という選択肢が現実味を帯びてくる要因にもなります。
担当している業務が自分に合わず、ストレスになっている
仕事内容が自分に合っていないと感じることも、「会社を辞めたい」と思う大きな要因のひとつです。
自分の強みやスキルを生かせない状況が続くと、達成感や手応えを得られず、「社会や誰かの役に立っている」という実感を持てないまま、意欲が満たされない状態になりがちです。
本来、仕事に意味や価値を見いだせれば、大きなやりがいにつながります。しかし、毎日が同じことの繰り返しに感じられ、成長している実感も持てないのであれば、自分が本当にやりたいことと現在の業務内容にズレが生じている可能性があります。
努力しても正当な評価が得られず、成果が報われないと感じる
公正な評価は、働くうえで欠かせないモチベーションの源です。
どれだけ工夫を重ねて成果を出しても、それが昇給や昇進につながらない環境では、頑張り続ける意欲が削られてしまいます。その結果、「自分の価値が認められていない」と感じ、孤独感や虚しさを覚えることもあるでしょう。
また、評価基準が曖昧だったり、上司の主観に左右されるような環境では、何を目標にすればよいのか分からなくなり、努力の方向性さえ見失ってしまう恐れがあります。
会社の社風や価値観に違和感があり、馴染めない
社風や企業文化といった「会社の空気」と自分の価値観が合わないことも、退職を考える大きな要因のひとつです。
たとえば、個人の裁量を重視したいタイプの人が、強いチームワークを求める環境に身を置くと、大きなストレスを感じやすくなります。会社との価値観が大きくズレていると、日々の判断にも迷いが生じ、「このままでいいのか」「環境を変えたい」と悩むのは自然なことです。
社風に合わないと感じるのは決して悪いことではなく、むしろ転職理由としてもよく見られる正当な動機です。伝え方を工夫すれば、会社理解の深さや自分の価値観を丁寧に示す要素にもなります。
今後の展望が見えず、キャリア形成に不安を抱えている
会社や自分の担当業務に将来性を感じられず、キャリア面で不安を抱くことも、退職を考える大きな理由のひとつです。
そうした不安を生む背景には、
・会社の業績が伸び悩んでいる
・業界全体が縮小傾向にある
・自分の市場価値が高まっている実感を得られない
といった要素が挙げられます。
このような状況に直面すると、「このままここにいても未来が開けないのでは」と根本的な不安を抱く方は少なくありません。
また近年では、キャリアを会社任せにするのではなく、自ら主体的に築いていく考え方が一般的になりつつあります。「成長できる環境で専門性を磨き、どこでも通用する力を身につけたい」という思いは、変化の激しい時代に向き合う健全な危機感の表れともいえるでしょう。
会社を辞めたくなった時の対処方法について
会社を「辞めたい」と感じたときに、感情のままに動いてしまうのは得策とはいえません。
まずは、その気持ちがどこから生まれているのかを落ち着いて見つめ直し、整理したうえで対処法を考えていくことが大切です。
ここからは、思考を整理するための最初のステップから、原因の種類に合わせた具体的なアクションまでを、段階を追ってご紹介します。
| 会社を辞めたくなった時の3つの対処方法 |
| ・最初に取り組むべき3つの行動
・自分の力で状況を改善できる場合の具体的な対処方法 ・自分だけでは解決が難しい場合の具体的な対処方法 |
最初に取り組むべき3つの行動
「辞めたい」という思いが強まっているときは、どうしても思考が混乱しやすくなります。だからこそ、まずは感情を一歩引いて捉え、冷静に整理することが重要です。
次のプロセスを踏むことで、現状の問題がどこにあるのかが見えやすくなります。
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辞めたいと感じた理由をすべて書き出す
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不満やストレスに感じている事柄を順番に並べる
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自分で解決できることと、そうでないことを分類する
頭の中だけで悩むのではなく、文字にして可視化することで、状況を客観的に把握しやすくなります。
まずは、「給料が低い」「上司が苦手」といったシンプルな不満だけでも構いません。そこから一歩踏み込み、そう感じた場面や当時の気持ちなど、具体的なエピソードまで書き出してみましょう。
次に、書き出した内容をもとに、不満の大きさに優先順位をつけます。たとえば「人間関係が最もつらい」「給料面はその次」といった形で、自分の中の重みづけを可視化していきます。
こうした整理を行うことで、自分が本当に解決したい“核心”がどこにあるのかが明確になります。
最後に、それぞれの項目を「自分の工夫で変えられること」と「自分ひとりでは変えられない環境要因」に分類します。たとえば「スキル不足」は前者、「評価制度の問題」は後者に当たるでしょう。
このプロセスを経ることで、次に取るべき具体的な行動が見えやすくなり、より効果的に対処法を見つけることができます。
自分の力で状況を改善できる場合の具体的な対処方法
前のステップで「自分の力で解決できそう」と判断した問題については、自ら行動することで状況が好転する可能性があります。
たとえば、仕事の進め方に課題がある場合は、タスク管理の方法を学んでみたり、上司に相談して業務の優先度を再調整してもらうといった対策が考えられます。スキル不足を感じているなら、資格取得の勉強を始めたり、社内研修に積極的に参加するのもひとつの手です。
また、人間関係が原因で悩んでいる場合でも、相手への伝え方を工夫したり、コミュニケーションの機会を増やすことで、関係が改善に向かうことがあります。
「環境のせい」と決めつけるのではなく、一度「自分にできることは何か」を軸に具体的な改善策を試してみる姿勢が重要です。
自分だけでは解決が難しい場合の具体的な対処方法
一方で、「会社の経営方針」「評価制度」「特定の人物の性格」など、自分の努力だけではどうにもできない問題も存在します。こうしたケースでは、自分を追い詰めるのではなく、環境そのものを変える方向で考えることが重要です。
まずは、信頼できる上司や人事に相談し、部署異動や担当業務の見直しが可能かどうかを確認してみましょう。社内での改善が難しいと判断した場合は、転職を具体的な選択肢として検討することも自然な流れです。
何より大切なのは、ひとりで抱え込み、変えられないものに過度なエネルギーを使わないことです。
また、転職エージェントなどキャリアの専門家に相談し、客観的な意見をもらうことで、より広い視点で自分の未来を考えるきっかけにもなるでしょう。
会社を辞めた方がよい場合と辞めない方がよい場合の判断基準
上記の3つの対策を実施しても、解決に至らい場合もあります。その場合に「会社を辞めた方がよい場合」と「会社を辞めない方がよい場合」の判断基準を以下に解説いたします。
会社を辞めた方がよい場合
退職は大きな決断ではありますが、状況によっては自分の心身やキャリアを守るための「戦略的な撤退」になることもあります。
ここでは、客観的に見て現在の職場から離れることを検討すべき5つのサインをまとめました。
・会社の将来性に不安を感じている
・正当な評価を受けていないと感じる
・職場の人間関係に強いストレスがある
・仕事が原因で精神面の不調が出ている
・明らかに不当な労働時間が常態化している
これらに当てはまる項目がある場合は、早めに転職を含めた選択肢を検討し、行動を始めることをおすすめします。
会社の将来性に不安を感じている
業界の縮小や、自社の主力商品・サービスの競争力低下といった問題は、個人の努力では覆すことが難しい領域です。そのため、会社の将来性に不安を感じることは、退職を考えるうえで非常に重要な判断材料となります。
特に、次のような兆候が見られる場合は、企業としての先行きが懸念される状態にあると言えるでしょう。
・業界全体が構造的に縮小している
・主力商品・サービスの市場での競争力が落ちている
・業績が長期的に低迷している
・給与の遅配や賞与カットが常態化している
こうした企業にとどまり続けると、成長の機会が減ったり、自分の市場価値が下がる恐れがあります。最悪の場合、突然の倒産で職を失い、生活が不安定になるリスクも否定できません。
会社の未来と自分の未来は別物です。自身のスキルや経験をより活かせる成長分野や安定した企業への転職を、前向きに検討することをおすすめします。
正当な評価を受けていないと感じる
どれだけ成果を上げても正当に評価されない環境には、評価体制そのものに課題がある場合と、会社の先行きが不安定で「評価したくてもできない」状況に陥っている場合があります。
いずれにしても、努力がきちんと報われない状態が続けば、仕事へのモチベーションが下がるのは当然です。
そのような企業に長くとどまることは、専門スキルや市場価値の低下を招く可能性があります。自分の実績が評価されず、キャリアアップのチャンスも得られない状況が続けば、将来的に外の市場で自分の力が通用しなくなるリスクすらあるのです。
まずは、自分の市場価値を客観的に把握し、努力や成果をきちんと評価してくれる環境へ身を置くことが何より重要です。
職場の人間関係に強いストレスがある
ハラスメントが頻発していたり、いじめが起きていたりと、職場の人間関係が修復不能なほど悪化している場合、無理に耐え続ける必要はありません。
会社へ相談しても改善の兆しがなく、適切な対処をしてもらえない状況なら、環境を変えることを前向きに考えるべきです。
人間関係による精神的なダメージは、仕事のパフォーマンスを下げるだけでなく、私生活にも大きな悪影響を与えます。
心と身体の健康を守ることを最優先にし、早めにその環境から距離を置く判断が求められます。
仕事が原因で精神面の不調が出ている
仕事による強いプレッシャーや長時間労働が原因で精神的な不調が出ている場合は、できるだけ早い段階で環境を見直すことが必要です。
すでに改善に向けて動く余裕すらない状態であれば、無理をせず一度休むことを選択肢に入れましょう。
一時的な対応としては、企業が設けている休職制度を利用するのがおすすめです。休職は心身の健康を取り戻すための重要な制度であり、ゆっくり休養し、必要に応じて専門医のサポートを受けることが回復への第一歩となります。
それでも状況が変わらないと感じる場合は、休職中の時間を使って、問題の根源である職場から離れる準備を進めることも視野に入れましょう。
心と身体が健康であってこそ、新しいキャリアに向けて前向きな一歩を踏み出せます。自分の健康を守る勇気を持つことが、何よりも大切です。
明らかに不当な労働時間が常態化している
会社を辞めない方がよい場合
「もう辞めたい」という気持ちが強くなると、その勢いで今すぐ退職願を出したくなることもあります。しかし、その選択が必ずしも自分にとって最善とは言えない場合も少なくありません。
ここでは、一度立ち止まって状況を見直した方がよい6つのケースをご紹介します。
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結婚を機に退職を考えている場合
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単に「働きたくない」という気持ちが強くなっている場合
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家族の介護を理由に辞めようとしている場合
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次の転職先がまだ決まっていない場合
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転職してからあまり時間が経っていない場合
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不満の原因が「給料面だけ」の場合
感情だけで決めてしまうと、後から「早まったかもしれない」と悔やむこともあります。衝動的にならず、まずは冷静に判断することが大切です。
結婚を機に退職を考えている場合
結婚をきっかけに退職を考える、いわゆる「寿退社」は幸せな選択のように見えますが、キャリアを途切れさせることには注意すべき点もあります。
パートナーの収入だけに頼る生活になると、病気や失業など予期せぬ事態が起こった際に、家計が不安定になるリスクがあります。共働きで経済的土台を整えておくことは、精神的な安心にもつながります。
また近年では、産休・育休、時短勤務といった制度が整備され、家庭と仕事を両立しやすい企業も増えています。
まずは、社内制度をしっかり確認し、利用できる仕組みがないか調べてみることが大切です。上司や人事に相談し、柔軟な働き方が可能か交渉してみるのも良いでしょう。
単に「働きたくない」という気持ちが強くなっている場合
「仕事そのものが面倒」「とにかく働きたくない」といった漠然とした気持ちが理由の場合、必ずしも退職が最善の選択とは限りません。
会社や業務内容に問題があるというより、そもそも「働くこと」への意欲そのものが低下している可能性があるためです。その状態で転職しても、新しい職場でも同じように「やっぱり働きたくない」と感じてしまうリスクがあります。
一度、長めの休暇を取って心身を休めたり、仕事以外の趣味や活動に時間を使ってみることで、「働く意味」や価値観が見直されることもあります。問題の原因が自分自身の内面にある可能性も踏まえ、じっくり自己分析の時間を持つことをおすすめします。
家族の介護を理由に辞めようとしている場合
家族の介護が理由で退職を考えるケースは珍しくありませんが、介護は期間が読めず、収入が途切れると生活が厳しくなる可能性もあります。
まずは、会社の介護休業制度や短時間勤務制度が利用できるかどうかを確認してみましょう。あわせて、地域の介護サービスや公的支援制度について調べておくことも重要です。
介護による負担をひとりで背負い込まず、活用できる制度を十分に利用しながら、キャリアを簡単に手放さずに済む方法を探るようにしましょう。
次の転職先がまだ決まっていない場合
次の転職先が決まっていない状態で今の会社を辞める場合は、慎重な判断が必要です。
収入が途絶えることで焦りが生まれ、「とにかく早く決めたい」という気持ちから、不本意な企業へ転職してしまう恐れがあります。また、職歴に空白期間ができると、選考で不利になる可能性がある点も注意が必要です。
在職中に転職活動を進めれば、収入の安心感があるため落ち着いて企業を比較でき、自分に合った環境をじっくり選べます。特別な事情がない限り、まずは内定を確保してから退職手続きを進めることをおすすめします。
転職してからあまり時間が経っていない場合
転職してからまだ数ヶ月の段階で退職を決断することは、あまりおすすめできません。
短期間での離職は、次の選考の際に採用担当者から「忍耐力が低いのではないか」「困難に直面するとすぐ辞めてしまうのでは」といったマイナスイメージを持たれやすいためです。
こうした状況を避けるためにも、まずは、現在の職場で少なくとも1年間は腰を据えて働いてみることをおすすめします。時間が経つにつれて環境に慣れたり、思わぬやりがいや学びが見つかる可能性もあります。
それでも1年勤めても状況が好転せず、「やはり転職が必要だ」と判断したのであれば、その時点で動いても決して遅くはありません。
1年以上の実務経験と、自分なりに改善に取り組んだエピソードを志望動機などに結びつけて伝えれば、前向きな姿勢として評価されやすくなります。焦らず、次の一歩を慎重に見極めることが大切です。


