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5月5日は、国民の祝日「こどもの日」として知られています。連休中にも「憲法記念日」が5月3日に、「みどりの日」が5月4日に位置するため、ゴールデンウイークの一環として認識されることが多いですが、こどもの日の本来の意味や背景を知る人は少ないかもしれません。
この機会に、こどもの日の重要性や祝日としての背景、ならびにその由来についてご説明します。また、この日に行われる伝統的な風習や、家族で楽しむためのアイデアも提案します。こどもの日の意義を理解し、子どもたちと充実した時間を過ごしましょう。
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こどもの日の意味と由来について

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こどもの日とは、
「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」
と国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に記載されています。
一般的に「子どもの成長と健康を願う日」として親しまれているこどもの日ですが、この日には母親に対する感謝の意も込められていることが法律により定められています。さらに、3月3日のひな祭りが女の子の節句として知られる一方で、こどもの日が男の子の節句と考える人もいます。しかし、こどもの日は性別に関わらず全ての子どもたちの成長を祝う日とされています。
こどもの日の由来と歴史について
こどもの日を最初に制定した国として、トルコがその名を挙げられることがあります。トルコの初代大統領は、国民議会が初めて開催された日を「国民主権の日」として記念し、同時に子どもたちを祝う日として設けることを提案しました。この動きが国際的な影響を与え、1925年にスイス・ジュネーブで行われた子ども福祉に関する世界会議において、6月1日が「国際こどもの日」として制定されたのです。
端午の節句として知られる5月5日について、第二次世界大戦後の1948年、国会にて「こどもの日」として祝日にするべきという請願が提出され、これが認められました。さらに、1954年には国連が子どもたちの理解促進と福祉の向上を目的に、11月20日を「世界子どもの日」と定めたこともあります。これを機に、世界各国でこどもの日を設ける動きが加速し、6月や11月など、各国の文化や状況に合わせた日付で祝日が設定されるようになりました。
こどもの日と端午の節句との違いについて
こどもの日が法定の祝日である一方で、端午の節句は伝統的な行事としての性格が強いです。端午の節句は、「五節句」と呼ばれる奈良時代からの伝統行事に起源を持ちます。五節句は、季節の変わり目に合わせて設定された5つの特別な日をさします。
端午の節句は、約2300年前の中国にその起源を持ちます。当初この日は、国から追放された屈原を追悼する日でありましたが、次第に病気や災害を払う祭りへと変化しました。奈良時代には、無病息災を願う行事として日本に伝わり、端午の節句が形成されました。江戸時代には、端午の節句が男の子の成長を祝う意味を持つようになり、武家の子息の健やかな成長を願う日として位置づけられるようになりました。「菖蒲」と「尚武」の語呂合わせからも、その武士道精神と結びつけられるようになったのです。
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こどもの日の伝統的な風習や慣習について

柏餅
こどもの日は、子どもたち全員の成長を祝うとともに、母親への感謝の気持ちを表す重要な日です。この日は端午の節句と同じ5月5日に設定されており、端午の節句で行われる伝統がこどもの日の風習にも引き継がれています。
次に、こどもの日における主な習慣や、この日に楽しまれる食べ物についてご紹介しましょう。
鯉のぼり・五月人形を飾る
鯉のぼりの起源は、江戸時代の武士が自宅の玄関に掲げていた幟や旗指物にあります。中国の伝説である登竜門、つまり「滝を登る鯉が竜に変わる」という話から影響を受け、「川を逆流して力強く登る鯉のように子どもが健やかに成長すること」を願って、武士だけでなく町人も鯉のぼりを揚げ始めたとされています。
子どもを災害から守る目的で、五月人形を飾る習慣があります。これらの人形、特に鎧や兜は病気や事故からの保護を意味し、弓矢や太刀は邪気を払う力があるとされています。五月人形には鎧飾り、兜飾り、武者人形の3種類があり、これらは子どもたちの代わりに災いを受け止める役割を持っているため、他人への譲渡は避けられています。人形がその役割を終えた際には、適切な供養が行われるべきです。
菖蒲湯(しょうぶゆ)に入る
菖蒲は、その強い香りから古くは中国で邪気払いの薬草として用いられてきました。暑い季節を健康に過ごす願いを込めて、菖蒲湯に入る習慣が育まれています。菖蒲にはオイゲノールといった精油成分が含まれており、これをお風呂に加えることで、リラックスできる特有の香りを楽しむことができます。
菖蒲は湯に浸す以外にも、厄除けや魔除けのために屋根に吊るしたり、お酒に入れて飲む習慣も存在します。菖蒲の名前が「勝負」や「尚武」といった言葉を思い起こさせるため、これを用いることには子どもの健康な成長を願う意味が込められています。
柏餅・ちまきを食べる
こどもの日に柏餅を食べる風習は、柏が子孫繁栄の象徴とされていることに由来します。柏の葉が新しい芽が出るまで落ちない特性から、「柏餅を食べると家系が絶えない」という考えが武家社会で広まりました。この習慣は特に関東地方で普及しています。
また、関西地域ではちまきを食べる風習が広く根付いています。この習慣は、政治家であり詩人だった屈原が川に投身した後、人々が彼の霊を慰めるために楝樹の葉で包み、五色の糸で縛ったちまきを川に流したという中国の伝説に起源を持ちます。この行事から、災害を避ける意味でもちまきを食べる風習が生まれたのです。
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子どもと一緒にこどもの日を楽しむ過ごし方

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こどもの日には、端午の節句に由来する様々な風習を行うのが一般的です。この日は子どもたちが健やかに成長したことを祝い、また母親への感謝を示す機会とされています。子どもたちには、「こどもの日は成長をお祝いし、お母さんに感謝を伝える日」と説明し、遊びを通じてこどもの日の風習を楽しく学ぶようにしましょう。
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5月5日のこどもの日には、空に舞う鯉のぼりが象徴的ですね。この記事で、折り紙を使った鯉のぼりの折り方や、風車、吹き流しの作成方法を紹介します。さらに、折り紙の鯉のぼりに合わせて作れる、おすすめの簡単クラフトもお伝えします。手作りの鯉のぼりを飾り、こどもの日を楽しく祝いましょう。
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折り紙で作る兜の折り方
子どもの日には、大きな兜の折り紙で遊ぶのも楽しいですね。この記事では、折り紙を用いた兜の折り方を詳しくご紹介します。子どもの日の飾りつけにも最適なこの兜、作ってみるのはいかがでしょうか。
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まとめ

こどもの日は、男女問わず子どもたちの成長を祝うとともに、母親への感謝を表す日です。この日は戦後に法定された祝日で、伝統的な端午の節句とは起源や意味が異なりますが、行われるイベントは似ています。鯉のぼりや五月人形の飾り付け、菖蒲湯、柏餅の食事などがその例です。
5月5日のこどもの日には、この祝日が制定された背景と共に、古くからの文化や歴史を子どもたちに教えて、意義深い一日を過ごしましょう。